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誰にでもできる                 2003.8.8./2011.3.6更新
9R59D(トリオ)の受信不能機のメンテナンス」体験     de JA6BLV
 
 製造番号 No420087 1966年10月30日キット購入


 
はじめに
 SSB時代とAM時代の移行期の受信機キットとして、「トリオ」から発売された9R59D
(18.800円)を再度、シャックに持ち込んでスイッチを入れてみたが、完全にどうさしなくなっていた。受信専用なのでコンデションのチェック、自局のモニタ−、海外放送受信ように使う目的でメンテナンス(修理・チュ−ニングアップ)に取り組んだ。
 


1 不具合の症状
  電源は入るが、ノイズ、如何なる信号も聞こえにくいが時々、突然、強い放送局信   号を拾い作動する。
  
2 発信回路のチェックを行う。
  ・感度が著しく悪く強い放送波のみ受信できるので、局発回路を点検する
 
3 トラブルシューティング
 @ 発信回路
   症状:受信信号をキャッチしない
   対策:局発回路6AQ8の発信改良
      ・C47 240PF→ 100PFチタコン→ 240PF安定度向上
      ・C12   3PF→   5PF  +20温特
      ・C6    5PF→   5PF
      ・コイルキット内の68Ωをカット
 
 A 周波数のドリフト
   症状:受信周波数が低い方向へ変化する
対策:温度保障コンデンサ−20PFを追加(G--K,K-E間) 
 
 B RF増幅の不良
   症状:一時受信不能の状態になる
   対策:・6BA6 のタイト ソケット ピン接触不良を発見、取り替える
      ・R1 47Ωをカット(受信信号の減衰量対策として)
      ・R3 180Ωを70Ωに変更
      ・MF1 プリント基板のハンダ外れあり(信号ノイズ皆無状態)
 
 C 検波回路の改良
   症状:SSB復調が不明瞭で聞き取りにくい
   対策:プロダクト検波回路(6BE6)の構成をFT400/FT401 を参考に改良
      ・G1−−−ア−ス 間に5PFを追加
      ・C20 1PF → 10PF+15PF
      ・C21 100PF → 22PF SSB感度アップ対策/AM比較
・C24 150PF → 22PF
・C32 0.01μF → 0.01+0.05 直列に追加(音質改良のため)
 
 D その他
       Sメ−タ−の照明ランプの増設
 
4 コイルパックの調整の仕方
   ○高い周波数:トリ−マを調整
   ○低い周波数:コア−を調整
 
5 改良の成果
   ○SSB復調の音質が、現代リグ風に聞こえるようになったこと
    受信感度を高めることができた
 
   ○常時コンデションの開き具合を確認するチェッカ−として活用できる
    トランシ−バ機器より消費電力が少ない
 
   ○最良感度の受信の仕方
    3.5→ Bバンド(ダイヤル目盛り3.8
     7→ Cバンド(ダイヤル目盛り7.0
    14→ Cバンド(ダイヤル目盛り14) スプレッドは中央の14.0に合わせてる
    14→ Dバンド(ダイヤル目盛り14.5) で受信のこと
 
    ※スプレッドは、右端のに合わせておくこと
 
   ○局発の温度保障コンデンサ−取替によりBCバンドのドリフトが小さくなって
    きた(安定度の向上あり)
 
6 課題
  L−C発信のドリフトを如何に小さく押さえるかである。
  特定スポットの発信
 
7 新トラブルの発生
  (症状):垂直に立てて受信中に突然、受信不能となる。
       水平にした通常状態にすると作動する。(H15.9.6発生)
  (対策):IFトランスの一次側のハンダ接触不良
      (IF2 L01-66 のV5 6BA6 のプレ−ト側のハンダ不良による)
 
8 Dバンドの特定スポットの自己発信
   (対策):局発回路のC13 0.01 → 470PF  (H15.9.20対策)
       局発プレ−トに挿入した200PFの悪さのため削除
 
       C13 470PF と ア−ス間に 20PF を挿入、発信管のP−C−E間
       の電極容量の変化の影響を軽減し、周波数変動を少なくするため(9.21)
       (P−E間に250PF を挿入した場合は、Dバンドでモ−タ−ホ−ディ       ング発信や引き込み現象を生じていた)
 
   14MhzはDバンドで受けるとSSB復調は音質良好(USB)
         Cバンドは音質不明確でLSB復調となる(16.1.1) 
 
   SSB局発の安定度を測るためにG−E間に20PFを接続(16.1.1)
 
9 Dバンドの感度を上げるチュ−ニングアップ(2004.1.11)
   ○Dバンドで14MhzのSメ−タ−の振れが小さいので、下記の対策を講じた
    RF段のC1 150PF → 470PF
    MIX段C5 150PF → 250PF
   (成果)Sメ−タ−の振れが大きくなり、受信感度がアップしたことを確認
 
10 トラッキング調整の不良は、混信を引き起こす原因となる(JA6FMR)
   ○調整の方法
SGを使う
テストオシレーターを使う
グリッド デップメーターは、発信周波数の変動あり
 
   ☆グリッド ディプメ−タ−の活用可(JA6BPN) サガントDM-250
     (IC760PROであらかじめfを校正して、2倍のfで調整すること(1.23)
    トラッキング調整の実施(16.1.17)
 
    Aバンド:1413Khz・・・・KBC九州朝日放送/ラジオ大阪で
          612Khz・・・・NHK福岡第1
        (NHK熊本1 756Khz RKK 1197Khzで再調整)
    Bバンド:   4Mhz・・・・   4Mhzあたり トリマ−調整
          1.8Mhz・・・・ 1.8Mhzあたり コイルコア−調整
    Cバンド:  12Mhz・・・・  12Mhzあたり トリ−マ調整
            6Mhz・・・・   6Mhzあたり コイルコア−調整
    Dバンド:  26Mhz・・・・   26Mhzあたりトリ−マ調整
           13Mhz・・・・   13Mhzあたりコイルコア−調整
    感度の調整:アンテナコイルのコア−調整でSメ−タ−の最大振れに調整
 
11 プロダクト検波(V6 6BE6)回路の調整 (2004.1.19)(1.24)
   (症状):AM受信時とSSB受信時の感度の差異がある
     対策:C20 1PF + 5PF を追加=6PFに
       (10PFを使用した時、IF信号強度によって検波歪みを発生)
        C22 20PF + 5PF を追加=25PFに
       (AGC電圧を得て、受信感度を上げる)
   (結果):Sメ−タ−の信号強度の指示が、AM時とSSB時が同様となり向上
 
   ☆プロダクト検波回路の特性を改善すれば、さらに感度UPが可能と思われる
    @V6 6BE6 回路の抵抗値と供給電圧の適正化を調べること
    AV7a 6AQ8 BFO発信の出力電圧の強度と検波歪みの関係を調べること
    BC24 22PF → 150PFに戻す(BFO出力upを図るため)
    CC20 3PF → 5PF に変更 (2004.1.21)
    DR28 47KΩ → 20KΩ BFOのプレ−ト電圧を高めるため(1.24)
    ESメ−タ−調整用抵抗のV5カソ−ドに102(1000PF)を挿入したUP
   ○強い信号に対するSSB検波歪みを解消した
    *BFO発振を強くするとSSB再生感度は高くなる
   ☆Cバンドのトラッキング調整の不具合あり (16.1.30)
    (症状)Low の同調は、可能であるが、High の調整がトリ−マでカバ−で        きない
    (原因)@If 455Khz が マイナス または プラス の差異がある?
          455Khz × 2= 910khz となる
        A Cバンド のみ モ−タ−ボ−デインク゛発振を起こす
          RFトリマ−を回すと感度が高くなり発振を起こす
 
12 破損による故障を生じる (H16.2.6)
   @IF一段目の6BE6のプレ−ト側のメカフィルマッチングコイル L4006を
    調整中にコア−を破損した(IF 458KHZ→455Khz)
   (対策):MT管用IFTでタコ足配線対応 再生の音質が変化した
   ○MT管用IFTは、広帯域幅のため不向きにつき、TV廃品のRFCをL4006    の代用品として挿入し、470PF をケツゴウコウデンサ−に使い、V4 6BA6    グリッドに接続、L4006セットのMFコア−を調整し同調をとる
    受信性能は、同等以上で良好(04.2.7)
 
   ABFO 発振バリコンの回転硬くなって、回転不可となる
   (対策):回転シャフト部分にCRCオイルを注入した
    
13 各プレ−ト電圧の調整と確認  (2004.2.12)
    ○安定度のチュ−ニングアップのため
   ・局部発振管-----------------135ボルト (145/190)+B  2.5kΩ挿入 
   ・BFO管プロダクト検波---195ボルト (135/150)+B  接続変更
   ・IFトップ管--------------150ボルト (135/133)+B  接続変更
   ・IF後段管--------------------95ボルト (195) 確認
   ・AF出力管-----------------195ボルト (195) 確認
 
14 RF増幅管の利得(ゲイン)の調整 (2004.2.15)
   ○V1 6BA6 のゲイン下げる対策
   ・プレ−ト電圧を150ボルト にする
   ・スク-リングリッド(SG) 電圧を10kΩを追加、134ボルト に下げる
   ・結合コンデンサ- C1 150PF C5 100PF に変更する
   ○IF段のカソ−ドのみア−スに直結し、RFカソ−ドのみRFボリュ−ム接続
 
15 SSB受信時のRFゲインによる不安定症状の対策(2004.2.15) 
   ○AGC回路の接続を確認・変更
   ・V1 6BA6 R2(B)→ 基板の(A)・(C)をロ-タリSW回路に接続
    (SSBとAM時のAGC回路の接続をSWにより切り替える回路)
   ※SSBの不具合を解消できた(14MHZにて確認)
   ○AGC回路のA,Cに各高抵抗を挿入 (2.17)
   ○コイルパックのシャフトのア−スを取る(RF発振の原因
 
16 強力な信号の歪み対策(16.2.21)
   ○NHK熊本第T 756KHZ で歪みを生じる 他の局も同様
   (対策)@ミキサ−回路のプレ−ト出力の結合コンデンサ- 470PF → 100PF
        IF増幅段のゲインを減衰させるため
       AAGC回路のRF増幅管のグリッドリ-ク抵抗R2に0.01μFをア-ス間
        に追加
 
   同上の対策の修正(16.2.29)
   ○AM信号の歪み対策
   (対策)@ミキサ−回路のプレ−ト出力の結合コンデンサ- 100PF → 470PF
        IF増幅段のゲインを上げさせるため
       AAGC回路のRF増幅管のグリッドリ-ク抵抗R2に0.01μFをア-ス間
        に追加
       BファンクションSW・RF段AGCの間に5MΩを追加
       Cミキサ−回路のIF出力回路にトランジスタ−用IFT455Khz
        を挿入。35KΩ:150Ω Hi=真空管側 Low=メカフイル側
       DRF・IF2段目のカソ−ドをRFボリュ−ムに接続
       EIF2回路+TR用455KhzIFT付加(直列挿入) 16.3.19
         ハイ インピ−ダンス回路にる接続方法
        ・ロ−インピ−ダンス側をIFT2のG側な接続
        ・E側をハイ インピ−ダンス側35/15KΩに接続(タップは不要)
        ・他側を原形回路に接続
       F中間特性のIFT調整   山形特性
 
17 SSB検波のXtal化  (2006.4)
       @USB/LSB回路の増設
        ・水晶2個と切り替えSW(3接点)トリマー2個 
       A調整の仕方
        ・BFOコイルはそのまま使用し、各水晶と並列につないだトリマー
         を調整して、聞きやすい音質に設定
 
18 局発管 6AQ8 を6BA6 に変更
       @三極管接続(G3はアース)にして管内浮遊容量を低減させる
       Aプレート電圧を数十ボルトにする(50〜70ボルト)
        将来のトランジスター安定化電源のため低めに動作させる
 
19 局発のQRH安定化対策       (2006.5.17)
       @局発6BA6のG1−E間に7PF
              K−E間に5PFの温度保障コンデンサーを付加
 
   (結果)海外ラジオ放送が長時間安定して受信できるようになった
 
20 局発のQRH安定化対策A  (2008.10.1)
@局発6BA6のG1 - E間に チタコン2PF 温度特性3PF をパラ接続
AK - E間に 温度特性7PFセラコンを接続
 
21 IFT455Khzの調整の仕方 (2009.2.6)
 @中国の標準電波BPN 10Mhzを受信する(9R59Dで)
 Aその時の局発周波数を測定する(FT817のゼネカバ受信で)
  中心周波数455Khzのズレを読む
 B9R59Dの検波側でテスタのリード線を使って、FT817のANTに接続
 @受信周波数を10.455Mhzに設定し、Sメーターの振れが最大点となるよ  うに、各段のIFTコアを調整する
 
以上 メンテナンスを完了したことを宣言 
 
◎ 発振回路に連動して動く入力回路のCmと同調コイルL1の共振周波数が丁度IF周波数 (455khz)分だけの差を持てば理想なのだが、理論的に不可能である。そこで、局部発振回路のバリコンにパッティングコンデンサーCptなるものを直列に接続し(発振周波数の変化幅を少なくする)、局部発振周波数で決まる受信周波数と、入力回路の共振周波数が一致しやすくしているのだ 2009.10.29
 
      低い周波数で 局部発振回路の パティングコンデンサー(PC)を調整し、      高い周波数でバリコンのトリマーを調整し、各々交互に調整する事により、      中央の周波数も正しい目盛りで入るように何回も調整を行うのをトラッキン      グを取るといいます
22 同調ハムの対策
症状: 搬送波に同調すれば、強いハムノイズが混入し聞きづらい
原因: 何らかの原因で中間周波数に電源ハムが変調されて検波されるため
解決: 周波数変換管6BE6を交換した(ヒータからの60Hzの誘導と断定) 完了  2011.3.6